多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

先人が教える粥とご飯のコツ、李漁

李漁(1611-1680)という清時代の文人が、粥とご飯を作るときのコツを述べています。

ご飯と粥は、日常の家庭生活に必須の食品であり、それを作る原理は誰でも知っている。私があれこれ言う必要があるだろうか?が、上手な主婦なら知ってはいるが口には出さないことが二つある。姑や母になったつもりで、それを放そう。

 まず、ざっくり言うと、ご飯を炊くときは、内部が生で表面だけが煮えたり焦げたりしているのはだめだ。粥を煮るときに、米が下に沈み上は澄まし汁だけというのはいけない。火の通り具合が不均等だとそういう事態になるのだが、少しでも料理のできる人ならこういうへまはやらない。
 第二に、粥を煮るときは水を足さず、ご飯を炊くときは水を減らさない、ということだ。水の量は米の量に応じて決めるのだが、きちんとしたスタンダードがある。医者が薬を煎じるときと同じで、スタンダードに基づいてやらないとうまく煎じることができないし、薬の効き目もなくなってしまう。ご飯づくりの下手な人はそのスタンダードがわからず、粥を煮るときは水が少ないのではと心配し、ご飯を炊くときは水が多いのではと心配する。そして米を炊いた汁を捨ててしまうこともあるのだが、米の精髄は汁の中に含まれているので、精髄そのものを失ってしまうことになる。精髄がなくなれば残るのは滓だけで、おいしいはずがない。粥を煮終わると、汁と米がよく混じり、米で醸した酒に似た感じになる。濃すぎるのではないかと心配し湯を加えてしまうと、酒に水を混ぜるのと同じで、滓のようになる。もちろん味も悪くなる。それゆえご飯づくりの上手な人は、水の量をきちんと見極め、火が均等に行き渡るようにするのである。

×

非ログインユーザーとして返信する