多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ウミタナゴ、金受申

 北京では「大頭魚」と呼ばれている。肉が厚くて小骨が少ない。肉はやや硬いが、煮込むのに便利だ。北京の家庭では、季節になるとこの魚を煮込んで食べる。毎年四月になると海に出てくる。この魚を煮込むときは、一度に四キロか五キロ、少なくとも一キロか二キロを一つの鍋で煮込む。

北京の主婦はこの魚を煮込むのが上手だ。だが、近年漁獲量が減り、値段が高くなった。それに四月の半ばを過ぎると、姿を消してしまう。
 北京の貧乏人は腐った匂いのする大頭魚の食べ方を知っている。安い値段で臭くなった大頭魚を買ってきてきれいに洗い、ハクサイの葉を敷き詰めた蒸籠に入れて、じっくり蒸す。ふたを開けると臭い匂いがするが、それがなくなるまで待ち、じっくり煮込む。すると臭い匂いがなくなる。柔らかくておいしいかは気にしない。貧乏人が飢えを解決するためのものだから。

×

非ログインユーザーとして返信する