多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

外国から来た野菜、周作人

 西洋人の朝食は、パンとバターだけがその国の産物で、茶葉と砂糖はもとは外国から来たものだ。コーヒー豆とレモンなら、現在でも輸入している。中国の状況は少し違う。豆腐とチンゲンサイ

を食べるが、いずれも中国製だ。身分の高い華人が西洋料理の真似をするほかは、食卓に舶来品が乗ることはあまりない。

 が、植物の歴史を語ってみれば少し特殊だ。大部分は中国に四千年間存在している。外国から帰化したものもいくつかあるが、千年百年と中国に存在しているので、もとは外国から来たものであることをみんな忘れてしまっている。これらの食用植物の中で、極めて重要なのが落花生とサツマイモ、それにカボチャだ。これらはみな南洋方面から来たものだ。中国に来たのはだいたい明の時代なので、四百年か五百年の時間がたっている。それ以前の子供たちは新年にカボチャの種や落花生を楽しく食べることはなかったと思うと、とても寂しく感じる。
 アカゴマ、

コエンドロ、

ウマゴヤシ

はみな漢の時代に張騫が持ってきたものだ。ソラマメは晋の時代に登場するが、「爾雅」の中に記載があるので、漢の時代に輸入されたのだろう。これらは長い歴史を持つが、アカゴマ以外はあまり使わない。ソラマメがどんなものなのか私は知らない。ホウレンソウとレタスは、隋唐の時代に入ってきて、現在は広く使われている。キュウリとダイコンは西域から入ってきたと言う人がいるが、根拠が少なく、信用できない。

 近年外国からジャガイモが入ってきた。トマトは北方では西紅柿というが、勢力は小さい。たぶんまだ平民化していないからだろう。ジャガイモはもともと役に立つものだが、サトイモやサツマイモと競争している。料理についてはサトイモが上、菓子類についてはサツマイモが上だと言われている。(1950.2)

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