多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

アズキ餡、周作人

 私たちは毎年月餅や

その他の餡入りの菓子を食べているので、アズキ餡を食べ慣れており、何か特別なものとは思っていない。実はアズキ餡は中国特有のもので、日本などにもある。中国から伝わったので、中国のものと同じだ。漢時代にはすでにサトウキビのジュース

があったので、アズキ餡もあった可能性が高い。南宋時代の范石湖の「竃を祭る詩」にこしあん入り白団子

のことが書かれている。

ふつうはアズキ餡で作るが、インゲン豆などを使うと白っぽい餡になる。広東の月餅にはキマメなどを使ったものがある。

西洋の菓子にはこの手のものは見かけない。彼らが常用するのはクリームとカカオ糖で、中国とは別の道を歩んでいる。一方は農業の系統、もう一方は牧畜の系統だ。カカオは西洋固有のものではなく、帝国主義の産物だ。十六世紀にスペインがメキシコを侵略し、土着の人からカカオ豆を奪い取って、飲用に使えることを知った。今日に至るまで、熱帯地方でしか産しない。白人がこれらの土着の人々を搾取しなかったら、口には入らなかった。カカオ糖は甘いが、その歴史は苦い。アズキ餡と比べると、意義のあることではないだろうか?(1951.2)

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