多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

魚の燻製と干し豚肉、周作人

 魚の燻製と干し豚肉は故郷の田舎の名物だ。最も有名なのは当然火腿

と家郷肉

だが、やや贅沢で、欠点もある。干してはいるものの、長期間経つと、油分が抜けてしまい、全体の量が減ってしまうのだ。長期間経過しても悪くならないという点では、魚の干物

が一番だ。一メートルくらいのセイギョを塊に切り分けてじっくり蒸す。

その肉を切り分けると、紅白が鮮明で、酒のつまみにもいいし、ご飯も進む。

 が、私は魚の燻製が一番好きだ。

范寅の「越諺」に「夏に捕ったハヤの小さいのを、醤油と酒にサンショウを加えた汁でじっくり煮た後、炭火で炙る。町では売っていないので自分の家で作らなければならない」と書いてある。ハヤは淡白で美味しい。

そうして作ったものを磁器の壺に入れておけば、好きな時に食べられる、煮たり蒸したりする必要はなく、実に美味だ。

 天高く馬肥ゆる秋、老酒を飲む格好の季節だ。

こう書くと、食べ物のことしか頭にないようだが、自分の文章についても考えている。書いて一ヶ月以上経つと、白や青のカビが生えたようになってしまう。魚の燻製や干し豚肉のように長持ちしてほしいのだが、そうはいかない。

 新鮮さを旨とする文章もいい。斉公の「北京で肉を食べる」のような文章は、敬服するが、私には無理だ。東単の李記小店のことは、その文を読んで初めて知った。その店の入り口が東向きか西向きかは当然知らない。(1950.9)

×

非ログインユーザーとして返信する