多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

満漢の菓子、梁実秋

 北平の菓子屋の看板には「満漢の菓子」と書いてある。中に入るときれいで、いい香りが鼻を打つ。

 満漢の菓子というが、何が満で何が漢なのか、今となってははっきりしない。名称を見ると、サチマ

は満族の菓子だろう。かつて満族の貴族だった人に聞いたのだが、サチマは満族の言葉で「とても甘い」という意味だそうだ。アワの麺を油で揚げたもので、蜜供

に似ているが、とても細く、蜜を均等に混ぜて大きな塊に圧し、表面に砂糖を振りかける。それを方形に切ったものだが、とても甘くて柔らかく、美味しい。今は全国各地で売っているが、分厚くて太く、蜜も少ない。名存実亡だ。

 蜂糕

も北平の特産だ。黄色と白の二種類あるが、味は同じ。もち米の粉を蒸して作るが、蜂の巣のように細かな孔があるので、その名がついた。とても柔らかくて、ややねばっこい。内部にクルミを少し混ぜ、外部は薄い湯葉でくるんで蒸し器にこびりつくのを防ぐ。蒸して熱くして食べるとさらに美味しく、病後にとてもいい。

 一般の菓子屋はサービスが行き届いている。私の家の庭にフジ棚がある。花がいっぱい咲いたら、少し摘んで洗い、菓子屋に持っていってフジ餅

を作ってもらう。新鮮な花だと味も違う。赤いバラ(西洋の品種は大きくて鮮やかだが、香りは少ない)が咲くと、これも花びらを摘んで菓子屋に持って行き、バラ餅

を作ってもらう。濃厚な香りが素晴らしい。

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