多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

随園食単、料理の際に最初に知っておかなければならないこと、袁枚

清時代の袁枚(1716-1798)という人が「随園食単」という料理書に書いています。

この世のすべてのものには先天的な特質がある。…食品そのものの本性が下劣であれば、易牙(春秋時代の著名なコック)のような名コックが調理をしても、いい味は出せない。

 まとめて言えば、豚肉は皮の薄いものがよく、生臭いにおいのものはだめだ。ニワトリは去勢済みの若鶏が最もよく、年を取ったものと幼すぎるものはだめだ。フナは平たくて腹の白いものがよく、背中の部分が黒いものは肉も硬く、皿においても見栄えが良くない。ウナギは湖水や谷川で育ったものがよく、大河で育ったものは骨が木の枝のように多くてごちゃごちゃしている。もみ米で育てたアヒルは肉が白くて柔らかく、よく太っている。肥沃な土壌で育ったタケノコは、節が少なく新鮮な甘みがある。
 ハムについても、よいものと悪いものは天地の差がある。同じ浙江台州の魚の干物と言っても、味が全く違うことがある。他の食物は推して知るべしだ。だいたい美味しい料理というのは、コックの腕が六割、食材を購入した人の見識が四割だ。

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