多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

食憲鴻秘ー続き2 

 新米で粥を煮るときは、薄すぎても濃すぎてもだめで、熱いうちに食べるのがいい。朝であれ晩であれ、おなかがすいたときに少しずつ食べるようにすると養生にいい。
 食事の後はゆっくり散歩し、手で顔と腋、腹をマッサージし、頭を上に向けて四回か五回深呼吸をすれば、食物の中の健康に不利な物質を取り除くことができる。
 飲食は、冷たすぎるのも熱すぎるのもだめだ。熱すぎるものを食べると火の気が蓄積して毒素となり、病を招く。
 適度な飲酒は気分を良くして、血の巡りを改善する。しかし、飲みすぎると病気になる。とくに、おなかがいっぱいのときに酒を飲んではいけない。
 酒は年を経たもの、長く寝かせたものがいい。酸っぱくなっているものや濁りが出てきたもの、発酵が不完全なもの、そしてことに冷たい酒は飲んではいけない。清らかで芳醇、純粋でおだやかな味の酒がいい。がぶ飲みと早飲みは、肺を損なうからよくない。また、下品でもある。
 しかし、朝出かけるとき、酒を一杯飲めば風邪の予防になる。酒がなければ、ショウガを一切れ食べてもいい。焼酎は一時的には寒を防ぐが、血を損ない、のぼせが生じ、目に害を及ぼし、ひげも髪も白くなるので、飲まないほうがいい。薬を作るとき、豆腐を調理するとき、トウチやダイコンを食べるときは、焼酎が向いている。
 一般的に、四季を通して、茶の飲みすぎは良くない。ただ、満腹のときに茶を一杯か二杯飲むのは不可欠だ。消化を促進し、脂肪分を取り除き、あぶったり焼いたりしたときに生じた毒素を消すからだ。とくに、空腹時の茶はタブーだ。茶は寒の性質があるので、熱いうちに飲まねばならない。冷たい茶を飲むと病気になる。
……
飲の章
 ずっと人々は「飲」という文字を「食」という文字の前に置いてきた。これは、雨水は天で生まれるが、穀物は地に実るからだ。「天に水が生まれてから、地に穀物が実る」ということだ。それゆえ、「食」を論じる前に、「飲」について語りたい。
 水を論じる
  飲みも食いもしなければ、人は死ぬ。水と穀物は生存の基本だ。肉と野菜は補助的なもので、少なくてもいいし、他のもので置き換えることもできるが、水と穀物だけは、きちんとした清潔なものでなければならない。
  「天に水が生まれる」というが、人はもとは一滴の水だった。が、父母が聡明で清らか、寡欲であれば、その子も聡明で健康、長寿となる。これは天の影響だ。「周礼」に「飲み水は陽の気を養い、穀物は陰の気を養う」とある。水は本来陰に属するので陽をやしなうことができ、穀物は本来陽に属するので、陰を養うことができるのである。後天的な物質が先天的な資質を育てるので、きちんとした清潔なものを選ばなければならない。それゆえ汚れた水やにごった水、池のたまり水、雷のときの雨水、氷や雪が溶けた水(雪が溶けた水はきちんとした処理をすれば使える)は、人の体を損なうので、絶対に飲んではならない。

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