多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

広東の正月菓子、蛋散、美食中国

 蛋散は、広東の春節を祝うための伝統的な菓子だ。小麦粉と鶏卵をこね合わせて油の入った鍋に入れて加熱し、黄金色になったら取りだして、シロップにつけて食べる。外側はサクサクしているが口に入れるとすぐにとろけ、さわやかな甘みが格別だ。

由来
 以前は、春節になるとそれぞれの家がピーナッツやごま、砂糖などで作った餡を小麦粉で作った皮に包んで、油で揚げていた。ある貧乏な家では餡の材料を買う金がなかったので、主は小麦粉の皮だけを見てどうしようかと悩んでいた。結局、新年の運勢がよくなるように祈りながら、皮だけを油で揚げた。新年を祝いに来た客にそれを渡して食べてもらったところ、「サクサクして美味しい。口に入れるとすぐにとろける。自分も作りたい」と称賛された。それをいろいろ改良してできたのが、蛋散だ。
作り方

1.材料をそろえて、小麦粉をこねる。まず、鶏卵と小麦粉を混ぜてこね合わせ、少し乾いた塊を作る・

2.長方形に切り分けて、螺旋形にする。こねた小麦粉の塊をゆっくりと平らに伸ばし、薄く長方形に切り分ける。その後螺旋形にする。
3.油の入った鍋に入れ、黄金色に揚げる。鍋に大量の油を入れ、七分目くらいまで加熱する。そこに2で作った螺旋形の物を入れる。まず強火でさっと揚げて蛋散の形を固める。その後弱火に変えて二分か三分加熱して揚げる。蛋散が黄金色になり、サクサクになったら、鍋から出してさます。
4.蛋散の魂、シロップ 
 さましたものを再度油の入った鍋で揚げる。三十秒で火を止め、取り出して油分を切る。そこにシロップを塗ると、黄金色でサクサクの蛋散が出来上がる。


注意事項
 小麦粉は精製された強力粉、鶏卵は上等の物を使うこと。蛋散の魂であるシロップは、上等の氷砂糖と白砂糖を用い、適量のショウガを加えると風味が増して口あたりもよくなり、風邪の予防にもなる。

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