多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

2020年2月のブログ記事

  • 食憲鴻秘、豚の胃腸と肺の調理法

    豚の胃を煮る  豚の胃を煮るときは特にきれいに処理しなければならない。へそのような部分に汚物が堆積していれば、絞り出してきれいに洗う必要がある。そうすれば生臭い匂いもなくなる。塩と清水、白酒を用いてじっくり煮る。煮えた胃を、地面に五センチほどの厚さに敷いておいたわらの灰に熱いうちに置き、素焼きの容... 続きをみる

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  • スイカの種を食べる、豊子愷

    ……  酒の席や茶楼で、多くのスイカの種を食べる名人を見た。最近「瓜子大王」が売れており、子供たちもそのやり方を身につけている。私の技術は国内の子供にさえ遠く及ばないが、外国人よりは上だ。確か、以前横浜行きの客船で日本人と同じ船室だったことがある。荷物をいじっていると友人が贈ってくれたスイカの種が... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、羊肉の調理法

    クルミを使うのがポイントです。 羊肉を煮る  羊肉を沸騰している湯に入れる。湯と同じくらいの高さまで。五個か六個のクルミを砕き、羊肉の上面に並べる。そうすれば羊肉の臭みがクルミに吸収される。グツグツ煮たら湯を換え、再度かき混ぜながら煮る。 羊肉を蒸す  脂ののった羊肉をきれいに洗い、大きな塊に切り... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、蒸した豚の頭部

     豚の頭部から食べるに適していない部分を取り除き、特にきれいに洗浄して骨を除去する。頭部五百グラムあたり、料理用の酒二百五十グラム、醤油八十グラム、塩十グラム、適量の刻みネギ、サンショウ、ケイヒを用意する。瓦片を氷のようにツルツルに磨いておき鍋に入れ、その後豚と調味料を入れる。豚が鍋の底に当たらな... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、肉醤(中華風肉みそ)の作り方

     二キロの赤身肉を用意する。生水を使わず、膜と筋を取り去り、細かに切り刻む。甘口みそ七百五十グラムと塩二百グラム、刻んだ白ネギ一碗を用意し、サンショウ、ウイキョウ、シャジン、チンピ(みかんの皮を乾燥させたもの)それぞれ二十五グラムをひいて粉末にする。上述のもの全てをいい酒に入れ、それを攪拌して粥状... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、腐乳(豆腐を発酵させた伝統食品)の作り方

     旧暦の二月か三月、あるいは九月か十月に作る。豆腐の水分をしっかり切る。方形に切り分け、せいろうの中にきちんと並べて、蒸す。蒸し終わったらせいろうに蓋をして、風通しのいいところに置く。五日か六日経つと、豆腐の表面に白い毛が生える。その毛は徐々に黒もしくは暗い赤色に変化していくが、その時分に豆腐を取... 続きをみる

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  • 宗璞,酒を語る

     酒は芸術だ。人を陶然、飄然とさせ、意識を失わせて酔卧させ、全く別の境地にいざなう。そこではしばしの間この世の束縛から解き放たれて自由自在となり、せわしさやわずらいを忘れることができる。それ故に酒を上手に飲む人を「酒仙」と呼び、酒に飲まれてしまう人を「酒鬼」と呼ぶのだ。「酒人」という言葉は使わない... 続きをみる

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  • 粥について、梁実秋

     私は粥が好きではない、子供の頃、病気になるとすぐに粥を食べさせられたので、嫌な思い出がある。普段マントウや油条(小麦粉を練って油で揚げた食品)を食べていたので、粥はおいしく食べられなかった。  もちろん例外はある。母が小さなやかんで煮てくれた粥はとても甘美だった。米をきれいに洗ってから煮込んだも... 続きをみる

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  • 女性用生理用品不足が深刻、武漢新型肺炎最前線

     グルメや料理とは関係のないことですが、中国のSNSでこんな記事が拡散し、注目を集めています。  要約すれば、武漢の病院の現場の医師や看護師は図のような防護服を八時間以上連続して着用しなければならないので、女性の方は生理用品の不足が深刻になっているということです。いったん着用すると脱げないので、短... 続きをみる

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  • 酪、梁実秋

     酪とは凝結させた牛乳のことで、北平の有名な食品だ。他地方では見たことがない。夏の午後、商人が木の桶を二つ天秤棒でかついて売りにまわる。桶には青い布をかぶせ、大通りや路地裏を練り歩き、「イーヨ、酪だよ!」と叫ぶ。「イーヨ」がどういう意味かは知らない。お金持ちのお坊ちゃんたちはその商人を門のくぐりぬ... 続きをみる

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  • 漬物について、梁実秋

     抗日戦争の時、私は向さんと共に後方にいた。ある時冗談まじりに「あなたの故郷保定にはどんな名産がありますか?」と尋ねたら、「宝物が三つあります。握って掌をマッサージする鉄球と漬物、春不老(ナズナの仲間で山菜の一種)です」という答えが返ってきた。向さんは将来機会があれば必ず見せてくれると約束した。抗... 続きをみる

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  • クルミのスープ、梁実秋

    ある年、今は亡き父が一家を玉華台のレストランに連れていき、ともに昼食をとった。家族三代がテーブルにそろっていた。そこの自慢料理をすべて食べた後、大きな鉢に入ったクルミのスープが出てきた。色も香りも味も素晴らしく、みんな「おいしい!」と叫んだ。母がその時言った。「おいしいことはおいしいけど、毎日多く... 続きをみる

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  • 豆腐について、梁実秋

     豆腐は我々中国の食品の至宝だ。豆腐が漢代の 淮南王劉安が始めたものかどうかはどうでもいい。どのみち、我々は長年食べ続け、今なお食べている。海外留学している人が中華街の食堂に行ってたまのご馳走を食べる時、焼いた豆腐は欠かせない。そうしないと「故郷の味」にならない。海外で豆腐製造で儲けた人もいれば、... 続きをみる

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  • 梅の実を語る、周作人

     中国の風雅な人たちは、ずっと梅の花を愛してきた。その第一は宋代の林逋で、梅の花と恋愛までしていた。これは私たちにとっては理解困難だ。その後の詩人には、雪の日に笠をかぶって舟に乗り梅の花を見に行くような人もいたし、ずっと家にこもり梅の花そのものは直接見なかったが、詩の中で月や林と一緒に詠んでいた人... 続きをみる

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  • レンコンとハスの花、周作人

     友人が山西から帰ってきた。山西は池は少ないがレンコンが多く、レンコンを蓮菜と呼んでいるとのことだった。これはぴったりの呼び方だが、レンコンは果物として食べるのがいいと私は思う。第一、田舎でレンコンを切ったものを生で食べる。第二、北京のヒシの実と一緒に氷で冷やす。第三、薄く切って甘酢であえる。第四... 続きをみる

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  • 故郷の山菜、汪曾祺

      私の小説「大淖記事」に「春の初め、水が暖かくなって、砂州に赤紫色のアシの芽と灰緑色のセイタカヨモギが多く生えている。もうすぐあたり一面緑になるだろう」という部分がある。その注釈に「セイタカヨモギとは水辺に生える野草で、太さは筆と同じくらい。節があって、長くて小さな葉がある。肉と一緒に炒めると極... 続きをみる

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  • 高郵のアヒルの卵、汪曽祺

     私の故郷は水郷で、アヒルを産する。高郵のアヒルといえば、有名だ。アヒルが多いと、アヒルの卵も多い。高郵の人はアヒルの塩漬け卵を作るのが得意で、とても有名だ。蘇南や浙江で人に出身地を尋ねられて答えると、相手は粛然として「あ、アヒルの塩漬け卵のところですね」と言う。上海の漬物店でもアヒルの塩漬け卵は... 続きをみる

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  • 漬物とオオクログワイのスープ、汪曾祺

     なぜかは知らぬが、私たちの家では雪が降ると漬物スープを飲んでいた。雪の日はチンゲン菜が買えないからか?違うだろう。大雪が三日間降り続き野菜売りが外へ出られない事態にでもならない限り、いつも市場で売っていた。たぶんただの習慣だろう。朝起きて雪が舞っているのを見ると、今日の昼は漬物スープだと思ったも... 続きをみる

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  • 食憲鴻秘、トウチ(豆みそ)の作り方

     エンドウ豆十リットルを一晩水につけてから、煮る。それを2.5キロの小麦粉でくるみ、ござの上に広げて陰干しにする。カジノキの葉で覆い、豆が黄色くなるまで待つ。黄色くなったらきれいに洗い、ニガウリの皮五キロ(賽の目状に切って塩でつけ、水分を切ったもの)、塩2.5キロ、杏仁四リットル(七度煮て皮と先端... 続きをみる

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  • 節酒節食のすすめ(万全)

    四百五十年前の養生書に書いてある「節酒節食のすすめ」です。飲食には節度が必要です。

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