多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

四川の担々麵、張恨水

 担々麵には二種類あり、四川の人であろうとなかろうと、みな好む。第一は、街路に沿って売っているものだ。前にコンロと鉄の缶を置き、後ろに戸棚を置いている。戸棚の引き出しに麺類とワンタンを入れ、その上に醤油や酢などの調味料を入れた皿や瓶を置いている。調味料の多くは粉末なので、他の土地から来た人はどういうものなのかわからない。第二は、竹籠に生野菜を入れているものだ。麺が煮えると、熱湯をくぐらせた野菜をその上に加える。すべての調味料を少しずつつまんで振りかけるのだが、コショウとショウガは特に欠かせない。さっぱりとして口当たりがよく、私が初めて重慶に来たときは、一碗が四分か五分だった。第一のものは、露天だが、テーブルのあるものもないものもあり、立って食べる人もいれば座って食べる人もいる。

いくつか種類があり、みそ味や何も入れないもの、ラー油味のものなどだ。味の秘訣はスープにある。豚骨を煮て作っているので、実に美味だ。看板などはないが、きちんとした身なりの人が、手を携えてやってくる。成都の人は、重慶の人以上に担々麵を好む。地面に腰をかがめ、ずるずる音を立てて食べている姿もよく見る。北平の人ももとより軽食を好むが、そういう姿はあまり見ない。

   1947年5月23日 北平「新民報」

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