多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

インゲンマメとアズキ、汪曾祺

インゲンマメ
 昆明で数年間インゲンマメを食べていた。西南聯大の食堂にはいくつかのよく食べるメニューがあった。ブタの血の炒め物、ハクサイの炒め物、灰色のこんにゃく豆腐などだが、ほとんど毎日インゲンマメを煮ていた。府甬道の市場で塩で煮たインゲンマメを売っていたが、時々買って、腹の減った時に食べていた。安かったからだ。インゲンマメは赤と白の二種類があるが、私たちが昆明で食べていたのは赤のものだ。
 北京の小さな食堂ではかつてインゲンマメの粥を売っていたが、白いインゲンマメを使っていた。インゲンマメの粥はとても粘っこく、あんをかけたみたいだった。
 インゲンマメ巻きは、「宮廷のおやつ」だった。白いインゲンマメを煮て餡にし、砂糖を入れて巻いたものだ。北海の漪瀾堂茶館でかつて売っていたが、今はどうか知らない。
 ウルムチのバザーをぶらぶらしていると、とても大きな白いインゲンマメがあった。親指の先と同じくらいの大きさで、買おうと思ったが、インゲンマメの包みを持って数千キロ離れた北京まで変えるのは、少し「おかしい」と思って、やめた。


アズキ

 アズキは上海では赤豆と呼び、赤豆スープ、赤豆アイスキャンディーがある。北京では小豆と呼び、小豆粥、小豆アイスキャンディーがある。私の故郷では紅飯豆と呼んでいる。米に混ぜてご飯を炊くからだ。
 アズキの最大の用途は餡を作ることだ。北方の餡は皮を取らず、アズキをそのまま煮る。菓子類の餡はみなそういうものだ。皮を漉し取り、細かな餡にしたものは、北方では「澄んだ餡」、南方では「洗った餡」と呼ぶ。月餅やまんじゅうを作るには、餡が欠かせない。餡はよく油を吸うので、すばらしい。私たちの家では、旧正月の一日、早起きしてだんごを作るが、その時に使う「洗った餡」は大量のブタの油と混ぜ、毎日一回鍋で蒸したものだ。黒みがかった紫色で、たっぷり油を吸い込んでいる。私たちの家のだんごはとても大きく、私は二個か三個しか食べられなかった。噛むと、油が口にあふれた。


 四川料理に、餡を肉で挟んだものがある。脂分の多い皮つきの方の肩の肉を六分目か七分目まで煮て、少し冷ました後、二切れの肉の間に「洗った餡」をはさみ、せいろうで蒸す。砂糖を使うので、とても甘い。脂分は抜けているので、しつこくはない。が、多くは食べられない。私は二つだけだ。私の息子はこの料理が作れる。とても上手だ。

×

非ログインユーザーとして返信する