多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

食憲鴻秘、魚の調理法

魚の漬物

 魚五百グラムを薄切りにする。水は使わず布できれいに拭う。夏なら125グラムの塩、冬なら100グラムの塩を用いて数時間漬ける。水分を切り、ショウガ、みかんの筋、ジラシ、ネギ、サンショウの粉と均等にかき混ぜ、磁器の壺にしっかりと詰め込む。その後クマザサの葉で蓋をし、十字形の竹串でしっかり固定しておく。その後壺を逆さまにして塩の漬け汁を乾かせば、もうすぐ出来上がりだ。


魚餅

 魚の背中ではなく腹部の肉を切り取っておく。その際鱗と骨をきれいに除去しておく。また、豚の赤身ではなく脂身の部分を用意する。魚肉五百グラムに豚の脂身二百グラム、たまご十二個分の卵白が必要だ。魚肉と少し塩を加えておいた豚の脂身を、まず別々に叩くように切る。八分目まで出来たら双方を一緒にしてシャムのようになるまで叩いて切る。卵白を少しずつ加えながら行う。中間に窪みを作り、そこに一杯分の水をゆっくり加えて行うと包丁も粘つかず、肉も美味しくなる。水を加えるのは二回か三回がいい。水を加える作業が終了したら、手を止めず、急いで切る。ここで切るスピードがのろいと、肉にこしがなくなる。切り終わったら平らに伸ばしてサイコロ状に切り分け、極端には沸騰していない湯に入れて、煮る。煮えたらあみじゃくしで取り出し、水を入れた容器に入れる。

フナのスープ

 新鮮なフナをきれいに洗い、沸騰している湯でさっとゆでる。その後手で魚を引き裂き、骨を取り出してきれいに洗う。シイタケと新鮮なタケノコをみじん切りにし、それにサンショウと料理用の酒を加え、魚を一緒に煮てスープにする。フナは二月から四月と八月から十二月の間のものが肥えていておいしい。フナの肉は細やかで栄養が豊か、薬用価値も高い。胃を温めて食欲を増進し、滋養があるので、中高年や病み上がりの人、産婦に向いている。


風魚

 旧暦十二月に取った鯉か大きめのフナの腸を取り除く。その際鱗は取らず、きれいに拭いておく。炒った塩を魚の内と外に塗り込み、四日か五日漬ける。ネギのみじん切りとサンショウ、ジラシとラード、酒を均等にかき混ぜ、魚の腹に詰め込む。樹皮で作った丈夫な紙で外側を包む。それに麻縄を通し、風通しのいいところにつるす。食べる時は、とろ火でゆっくりあぶる。

魚の生臭さを除去する方法

 魚を煮るときに少量のモッコウ粉末を用いると、生臭さは消える。魚を洗うときに火を通していない落花生油を一滴か二滴垂らすと、魚の粘液がなくなる。マルブシュカン、みかん、菊の花と葉を採取した後槌で叩き潰し、それで魚を洗えば素晴らしい効果だ。魚を開くとき、ハッカ、コショウ、紫蘇、ネギ、ミョウバンなどの粉で内と外をきれいに洗うと、魚の肉は美味しくなる。

エツをあぶる

 捕れたばかりのエツをきれいに処理し、炭火でゆっくりとあぶり、貯蔵する。

 もう一つの方法:魚の頭と尾を取り去り、切り分けて油で煎る。それぞれの間にクマザサの葉を置いて、素焼きの壷に詰め、土で密封しておく。


鯉のかす漬け

 旧暦十二月に捕れた鯉をきれいに処理し、大きな塊に切り分け、ぬぐう。魚五百グラムに炒った塩を二百グラムの割合で用意し、それを魚にすり込み、一夜漬けておく。再度きれいに洗い、陰干しにする。酒かす五百グラムに炒った塩を二百グラムの割合で混ぜて甕に入れる。そこに魚を入れ、クマザサの葉で甕の口を包み、土で密封する。


ジギョの蒸し方

 ジギョを調理する際は、腸は取り去っておかねばならないが、鱗を捨ててはならない。布で拭うだけにしておく。サンショウ、シャジンにみそを混ぜたものを粉末にし(白砂糖とラードを加えると一層美味しくなる)、水、酒、ネギと混ぜ合わせ、錫の用紙に入れて蒸す。シギョは美味しくて栄養が豊富だ。鱗の下部に脂肪が豊富にあるので、調理の時に鱗を取り除いてはならない。滋養強壮にとてもいい。

魚醤の作り方

 魚の肉五百グラムを切ってきれいに洗い、炒った塩百五十グラム、サンショウ、ウイキョウ、乾燥ショウガ各五グラム、シンキョク十グラム、紅麹二十五グラムに酒を加えたものと均等にかき混ぜ、磁器の壺に入れて密封する。十日経ったら食べられる。食べる時にネギのみじん切りを少し加えてもいい。

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