多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ツバメの巣(随園食単:清時代の料理書)

 ツバメの巣は貴重なものなので、軽々しく使用すべきではない。もし使用するなら、まず、百グラムの加熱した泉水に浸して、銀の針で黒い糸を取らなければならない。その後、若鶏のスープ、火腿(中華ハム)のスープ、新鮮なキノコのスープでゆでて、ツバメの巣が玉の色になったら、できあがりだ。

あっさりしたものなので、、油っこいものと一緒にしてはならない。また、ツバメの巣は雅やかなものなので、俗っぽいものと一緒に食べてはいけない。肉の千切りや鶏肉の千切りと一緒に煮る人もいるが、これは肉や鶏肉を食べているのであり、ツバメの巣を食べているのではない。「ツバメの巣」という名前だけを追求して、ひと碗の麺に数本ツバメの巣の繊維をたらして食べる人もいる。箸で一度つまめばなくなってしまい、後に碗いっぱいの俗っぽいものが残るだけだ。物をいっぱい持っていると見せかけようとした乞食が、かえって貧相な姿をさらしてしまうのと似ている。やむなく他の材料を使うのであれば、キノコの千切り、タケノコの千切り、フナの浮袋、キジの肉なら使ってもいい。私はかつて広東東部の楊明府の家で作ったトウガンとツバメの巣の料理を食べた。

とても美味しかった。柔らかくて清らか、鶏のスープとキノコのスープを使っているだけだった。うまく調理できたツバメの巣は全体が玉の色で、純白ではない。ツバメの巣をたたいて塊にしたり、麺状にしたりする人もいるが、こじつけという感を免れない。

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