多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

煮込み三袋と焼き黄香管、唐魯孫

 ……河南には都が置かれたこともあり、美味しい料理も多い。
 河南開封の登瀛楼というレストランに、「煮込み三袋」と「焼き黄香管」という名物料理があった。「煮込み三袋」の三袋と

は、豚の胃袋、羊の胃袋、牛の胃袋のことだ。まずそれらをかん水を用いて小麦粉と一緒に揉み込み、その後清水できれいに洗う。そして鶏のスープを使ってとろ火でじっくり煮込んだ後、タケノコや火腿(中華ハム)と合わせて煮る。清の西太后が食べた後大いに称賛し、宮廷の料理人に作らせようとしたがうまくいかなかったという。この料理の秘伝の調理法はもうわからないだろう。

 「焼き黄香管」は袁寒雲が中南海に居住していた時の料理人の得意料理だった。サクサクとして爽やかで、他では食べられなかった。のちに袁の幕僚だった陸増煒がこの料理の秘密を江東の才子楊雲史に伝えた。楊は東興楼で宴会を開いたときに東興楼の料理人にわざわざ作らせたのだが、格別な美味しさだった。

いわゆる「黄香管」とは豚の食道だ。豚の食道を長年熟成した紹興酒に漬け込み、適切な火加減で調理する。登瀛楼のシェフだった曽さんは袁さんの厨房の秘伝を受け継いだ。曽さんの死後は、河南料理のレストランでこの料理を作れる人はいなくなった。今はもう忘れられているだろう。

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