多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

魚の塩漬と干し豚肉、周作人

 魚の塩漬け


と干し豚肉


はとても美味しく、特に私たちのような田舎者にとってはとても貴重なものだ。私たちの田舎にも貴重な食物はあるが、醤アヒル


糟ガチョウ


のような自家製品が大部分で、物資があまり欠乏していない時代においては、野菜の漬物とあまり変わらない。家禽類と白菜は自分の家で備えておくことができ、店に買いに行かねばならないのは豚肉だけだからだ。干し物はだいたいが冬の製品で、新年の祝いの時に使う。市場が閉まっていて買い物が不便な時に、客に出したり自分たちで食べたりするのだが、魚の干物と同じ効用だ。魚の塩漬けについては、セイギョの干物以外は、たいていのものが店で売っている。私たちの田舎では、だいたい寧波から品物が来ており、上海より種類も多いと思う。

 金持ちは毎日新鮮で美味しいものを食べるが、一般の人は魚の塩漬けで日々を過ごしている。貧乏の一種だろう。ただ、海岸が近くにあるので、野菜以外のものも食べられる。しかしビタミンが不足し、塩分を取り過ぎてしまう。野菜を食べて補わねばならないのだが、口に入る野菜は漬物が中心だ。欠けるところがあると言わざるを得ない。唯一の救いが豆腐だ。豆腐はどこにでもあり、誰でも手に入る。魚の塩漬けと豆腐のニンニク炒め


は、

そんなに大したものではないが、十分だ。今の貧乏な文人にとっては盛大な料理だ。

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