多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

カニを食べる(ニ)、周作人

 カニはブルジョア階級の食べ物かどうか?答えるのはとても難しい。正陽楼の勝芳大カニは

確かに高級役人か金持ちしか普段は食べられず、以前の教師だったら金を集めてたまに食べに行くくらいだった。しかし、清の光緒帝の時代、私は南京で勉強していたが、叔父と一緒に煮込んだカニを食べたことがある。そんなに昔の話ではないし、そんなに高くもなかった。

 カニを食べるのなら新鮮なものがいい。が、酒に漬けたもの(酔カニ)

や塩に漬けたもの(腌カニ)

も悪い味ではない。酔カニは都会では売っているが田舎では自分の家で作るしかなかったので、容易に手に入らなかった。腌カニは、シーズンになると至る所で売りに出され、民衆の副食ともなった。腌カニは淮カニとも呼ばれ、形は普通の湖カニと同じだが、酒の風味がないだけで味は酔カニに劣らなかった。ご飯も進むし、酒のつまみにもいい。見てくれが良くないのが欠点だ。最初にカニを食べた人には敬服すると言った人がいるが、最初に腌カニを食べた人には、より敬服すべきだろう。

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