多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

打魚を観る歌、杜甫

 綿州涪江の東の渡し場で、銀よりも白く輝くトガリヒラウオが跳ねている。漁師が舟に乗って大きな網をあげると、数百尾もかかっている。雑魚は捨てるが、赤鯉は神がかった力で跳ね出てしまう。水底の竜が腹を立て、ぴゅうぴゅう風を吹かせている。
 料理人が研ぎ澄ませた包丁の白く光る刃をふるうと、美しい皿に鱠が白雪のように積もる。

脂が乗ったトガリヒラウオは天下第一だ。飽きるほどに食べてしまうと、なんだか悲しくなる。白い鰭を割かれた魚は、紙一重で川の水とお別れになってしまったのだ。

×

非ログインユーザーとして返信する