多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

北京のイスラムレストラン、金受申

 仏教徒のレストランにも様々な区別があるのと同様、イスラム教徒のレストランにもいろいろな区分けがある。
 現在の北京では、「西来順」、

「両益軒」及び「同和軒」が格が高い。「西来順」は、褚祥という名シェフのおかげで名声を博しているが、実際、料理のレベルはイスラムレストランでは最高で、それぞれの料理に他にはない独自の味がある。特にツバメの巣とフカヒレのコース

はすばらしく、仏教徒のレストランより上だ。他の料理についても工夫を凝らしており、「トウチ魚」

や「醤腱

についても他のレストランにはないさわやかな美味に仕上げている。料理の色合いもすばらしい。

 暖かくして食べる料理の中では「チャンチン豆腐の鍋煎り」

が、チャンチンを加熱することによって濃厚な味を醸し出し、高く評価されている。

 また「インゲン豆の炒め物」

も柔らかいが美しい緑を保ち、絶妙な火具合だ。

 ケツギョを蒸すときは美味なスープが必要なことは誰でも知っているが、「西来順」では「ケツギョの蒸し物」にカニを加えており、よりよい味に仕上げている。
 「西来順」は「つかみ羊肉」も上手だ。骨付きの子羊の肉を使わないとだめなのだが、実にうまい。「西来順」は「炒め物」、「焼き料理」、「しゃぶしゃぶ料理」のすべてが素晴らしいので、蒸し物の軽食もおいしいのだが、他の料理に埋もれてしまっている。
 「両益軒」は、開設以来の歴史がどのイスラムレストランよりも長い。演劇界の人がよく利用しており、料理についても熱心に探究している。
 「両益軒」の料理は、イスラムレストランの伝統的な規律を厳しく守って作られている。その規律の中で美味を求め、一般の人の賛同を得ている。「両益軒」はとくに軽食類が得意なので、二人か三人で腹を満たすにはちょうどいい。「同和軒」は、かつて「両益軒」の店員だった人が開いた店で、すべて「両益軒」と同じなので、ここでは述べない。
 「西来順」にも「両益軒」にもそれぞれ長短がある。
 次のレベルのイスラムレストランは、「東来順」、

「重陽館」、「同聚館」などだ。「東来順」は最初は小さな饅頭店だったが、徐々に拡充し、今日の三階建ての「東来順」になった。おいしくて安いのと、東安市場の火災の被害を免れたことがその理由だ。「東来順」のシェフは研究熱心で、自らの店でみそや野菜を作っている。季節の菓子類も美味で、「カイドウの蜜漬け」

や「炒めサンザシ」

は美味で有名だ。きちんとした材料で細密に作るからで、他に理由はない。大規模な料理より、小規模な料理が得意だ。一般の人がポケットマネーでおいしく食べられる。かつて小さな饅頭店だったことを経営者は忘れていないのだろう。
 「重陽館」はかつて「東来順」の店員だった人が開設したもので、「東来順」を倣っており、安くておいしいので客を惹きつけている。
 さらに下のイスラムレストランは、前門大街の「一条竜」や崇外大街の「域華楼」などがある。腹を満たし足り、友人と会ったりするときに行くが、そんなに雅やかではない。

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