多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ニワトリ、アヒル、ガチョウ(周作人)

……アヒルについては、確かに好きではない。醤アヒル

と塩水アヒル

は評価すべき点はあるが、糟鶏や油鶏

に勝るとは言えない。「便宜坊」に行って北京ダックを食べようと誘われても全て断るわけではないが、そんなに美味しいとは思わない。パリパリと焦げた皮を、ネギを加えた甘みのあるたれにつけても大した美味ではない。評判を聞いて食べているだけという人も多いのではないか。西洋人は北京ダックを称賛するが、半分は好奇心、半分はあぶった味が好みに合っているからだ。私の見るところ、少なくとも中国の南方の人の好みには合わない。私たちのような守旧派には美味しいものではない。

 が、焼きガチョウを食べるのは好きだ。

北京ダックとは違う部分がある。焼きガチョウは冷えたものも美味しいし、皮や油を肉と一緒に切り取り、醤油と酢を混ぜたものにつけると故郷の味がする。糟ガチョウ

も美味で、ニワトリに勝っているのではないか。惜しいことに北京ではガチョウの肉を食べない。背中を赤く塗って雁の代わりにし、結婚の時に使うだけだ。旧式の婚礼がだんだん廃れてきたので、市場でもほとんど見られなくなったが。

×

非ログインユーザーとして返信する