多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

魚の開きと豚肉の煮凝り、周作人


今年の北京の冬はあまり寒くない。普段は一月は二日くらい零下十五度か十六度まで気温が下がるのだが、今年は最低でも零下十度だ。特に窓ガラスに結氷しない。毎年冬の朝には氷で窓ガラスに山水や花のような模様ができ、ストーブで部屋を暖めると窓台が氷が溶けた水でいっぱいになる。現在カーテンを開けても、窓ガラスは澄み通ったままだ。天気とはこんなものかもしれない。毎年寒波がやってくると、大幅に冷え込むが、今年はまだやってこないので暖かいのだろう。他地方もそのようだ。上海にいる同郷の友人が手紙で、年越しの祝いに魚の開きと豚肉の煮凝りを作ろうと思ったが、気温が低くなかったのでうまく作れなかったと言ってきた。

 私の家で魚の開きと豚肉の煮凝りを作るときは、中庭に置いてあるからの水瓶の中に置いて冷やすのだが、今年はまだ作っていない。魚の開きと豚肉の煮凝りは故郷の田舎で歳を越すときの必需品だ。「越諺」に「年末年始の食事には、貧富や男女を問わず、必ず食べる」と書いてある。作り方は簡単だ。魚の開きを切り分け、豚肉と一緒に煮るだけ。重要なのは、冷やしてゼリー状にしてから食べることで、煮たものをすぐに食べてはいけない。金持ちは鶏肉を入れるが、必ずしも必要ではない。が、上海ではうまくゼリー状にするため皮付きの豚肉を使うという。鶏のつばさや豚の皮を使うのがいい方法のようだ。

 私がまだ魚の開きと豚肉の煮凝りを作っていないのは、豚肉はあるが、魚の開きが手に入らないからだ。普段は西城の南方の物品を扱っている店で手に入るのだが、見当たらない。フウセイやキギョ

を天日に晒してから開きにするので、贅沢品ではない。物産の交流をやっていればいくらでも出てくると思うのだが、今見当たらないのは残念だ。タイラギの貝柱

は必要はないのに市場に出回っている。(1952.3)

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