多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

スープ調味料、周作人

 以前中国では交通が不便だったので、旅行には日にちがかかった。それゆえ旅の準備には手を尽くし、台所用品以外のほとんどの物品を持っていった。……

 普通のインテリは旅行をするとき、上は皮の帽子を入れる箱から下は陶器製のしびんまで、

かなりのものを携帯した。その荷物にはかならず網の覆いのついた籠があり、田舎では路菜と呼ぶ食料を入れていた。凝ったものとしては火腿(中華ハム)

や鶏の燻製、

簡素なものとしてはスープ調味料などで、今でも私はそんなに悪くなかったと思っている。スープ調味料の材料は多かったが、シイタケやむきエビ、醤油で煮たタケノコを炙って乾燥させたもの

などがあった。それらを湯に入れたり、そのまま食べたりした。

 長旅の際、船に乗ったり宿に泊まったりした時に、湯に入れてそれらを食べるのは、必要なことだった。旅先に粗悪品しかないこともあったからだ。今は、これらのスープ調味料を使う人はいないだろう。上海製のもので、乾燥野菜

や乾燥タケノコを歯磨き粉のように紙袋に詰めたものを見たことがあるが、同じように使うのだろうか。材料の種類がかなり少なかったが。

1950.12

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