李清照、あの人を想い、やつれ……
宋時代(約九百年前)の女性詩人李清照の詩です。愛する人が遠くに行ってしまったことを嘆き悲しんでいます。
あの人を想い、やつれ……
銅の炉の香りは冷え切り、赤い布団はベッドの上で波のように乱れ、朝何とか起きたものの、髪をすくのも物憂い。
鏡台には塵がうずたかく積もり、太陽の光だけがカーテンを照らしている。
別れるときとてもつらく、思っていることがあまり言えなかった。
最近日ごとに痩せてきたのは、お酒を飲みすぎて体を痛めたからではないし、秋の景色を見て悲しみが増したからでもない。
別れの時、何度も歌を歌って引き留めたのに、あの人は行ってしまった。
想う人が遠くに行き、私は一人取り残され、家の前の流水だけがずっと私を気にかけ、思いのこもった涙あふれる瞳を映している。
これからは流水を見つめて涙を流すだけ、想いと憂いを感じ続けるだけ。