多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

夏を乗り切る飲み物、酸梅湯とリョクトウスープ、金受申

酸梅湯
 夏の飲み物といえば、酸梅湯こそがさわやかだ。きちんとした水を使用して作れば、夏の衛生によく、益するところも多い。のどの渇きをいやすのと同時に、梅の成分が厥陰の経絡に入るので、暑気を取り除いて肝臓を丈夫にする。古人は酸梅湯を飲みながら食事をしていたが、深い意味があったのだ。のちの人が涼だけを求めて飲んでいるのとは全く異なる。酸梅とは梅の実を燻製にしたもので、市販されている酸梅湯の製法は三種類だ。第一は熱湯に酸梅を浸した後、かすを漉し取り、甘蔗糖を加えるというものだ。冷めてからモクセイを入れることもある。その後適度に水を加え、それを入れた缶のまわりに砕いた氷を並べる。飲むときは碗に氷は入れない。酸っぱいが激しくはなく、甘いがしつこくはない。北京琉璃廠の「信遠斎」や大きな邸宅ではこのやり方で作っており、北京第一と言えるだろう。第二のやり方は水で酸梅を煮るものだ。それ以外は同じ手順だが、酸梅を浸すだけでは時間がかかるので、煮ることにした。味は第一のものと似ているが、芳醇さという点で劣る。西四の「隆景和」や「九竜斎」、規模の大きなドライフルーツ店はこの方法だ。第三は、街角でよく売っている酸梅湯で、水で煮た酸梅湯だが、いい加減にしかかすを漉し取らず、湯や水を加えてしまうものだ。甘蔗糖ではなく白糖を使用し、碗の中に氷も入れる。北京の川の水で作った氷は汚れているので、飲むときには頻繁に碗をゆすらざるを得ない。秋になってから病気になるケースもかなりある。


リョクトウスープ
 夏の飲み物にリョクトウスープがある。二種類だ。一つは食事の後に飲む熱いリョクトウスープだ。白米を加えて「リョクトウ粥」にしてもいい。生米を煮て粥にすると、粘り気のあるスープができる。家庭ではこのやり方が好まれるが、リョクトウの皮を剥かねばならない。炊いた米の飯を粥にすると、スープtコメがはっきり分かれる。この場合はリョクトウの皮を剥く必要はなく、豆の味がしっかり残る。私は外で売っているリョクトウ粥は買わないが、売り子の掛け声は好きだ。……
 次に、もっぱらリョクトウを煮て作るリョクトウスープがある。半分くらい煮えたら、しゃもじを使って鍋底のリョクトウの皮を取り去る。十分煮えたら少し冷まし、リョクトウを漉し取る。残った緑色のスープを氷で冷やして飲む。白砂糖を入れてもいい。ほてりを抑えて暑気をとる効果がとても大きい。美しい緑色に煮るのは、ミョウバンの加え方と火加減がポイントだ。火を止めた後蓋をしてはならず、風で冷ますと澄み切った緑色になる。北京っ子はこれが得意で、田舎の人が作るリョクトウスープは暗い黄色のものが多い。リョクトウスープは酸梅湯やスイカの汁よりコストははるかに安いが、以前は王侯貴族が夏の飲み物として愛好していた。

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