多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

北京っ子の酒、金受申

北京でよく飲まれるのは第一に「パイカル」(原語は「白干」)という焼酎だ。さまざまな階層の人に愛されている。「都一処」の「蒸酒」が一番で、「東西来順」と「両益軒」の「伏酒」がその次だ。北京でパイカルを産するところは四路に分かれる。南路の採育鎮と長辛店、北路の麗水橋、東路の西集と燕郊、西路の黒竜潭などだ。

北京の黄酒は、味は悪くない。甘みのあるものは苦みのあるものほど深い味ではないが、山東黄酒よりはるかにおいしい。北京で黄酒を製造しているのは、護国寺西口の外にある「柳泉居」が最も有名で、悠久の歴史を持つ。北京黄酒の高級なものは「玉の泉のようなよき酒」と形容される。



「蓮花白」:白いハスの花を醸造したもので、海淀で産する。柳浪庄の白ハスを用いて造ったものは、味は甘いが、一番の品だ。海淀の酒屋はみな「蓮花白専門」という看板を出しているが、北頭路で看板を出さぬ「仁和酒店」で売っているのだけが本物の蓮花白だ。本物の蓮花白を飲むと、そんなに酔っていない間はハスの花の清らかな香りを感じることができる。


「黄連液」:漢方薬のオウレンを用いて造ったもので、味は苦くのぼせを消す。通州の「八里橋」の造るものが最もいい。
「かりん酒」:大柵欄の「同豊」の造るものが最もいい。
「四消酒」:漢方薬の四消丸を用いて醸造したもので、四消丸と同じく、飲めば気持ちが静まる。徳勝門の果物市場の「北義興」が発明したが、その後は鼓楼前の「四合義」だけが代理販売している。
「茵陳酒」:体内の余分な水分を排出する効能がある。白茵陳は三義酒店の醸造したものがよく、緑茵陳は鶴年堂、永仁堂のものがいい品だ。

ほかに五加皮酒、紅白玫瑰酒、史国公酒、状元紅酒、陳皮酒、仏手露酒などが造られているが、甲乙つけがたい。

虎骨酒、蛇皮酒に至っては、酒という名前ではあるが、実際は薬で、病を治すときにのみ使い、ただの憂さ晴らしに使うものではない。

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