多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

乳酪、張岱(1597-1680)


張岱は明末清初の文人ですが、乳製品を愛好していたようです。そのためかどうかは知りませんが、ずいぶん長生きしています。

商人から買った牛乳は新鮮味が失せているので、美味とは言えない。私は自分で牛を一頭飼い、毎晩乳を搾る。朝になると三十センチくらいの壺がいっぱいになっているので、銅の鍋で煮る。五百グラムの乳に四瓶の蘭雪の汁を加え、繰り返し煮るのもいい。神様の飲料のようなものができる。雪のように真っ白で、心に染み入るような蘭の香りがするすばらしいものだ。それに美酒を加えて蒸したものを熱いうちに口に入れると、とてもおいしい。豆の粉を混ぜて豆腐にしたものなら、冷めた後に食べるのが一番だ。サクサクになるまで炒めたり、酒を使って凝固させたり、塩で漬けたり、酢であえたり、それぞれにおいしい。蘇州のある人は乳酪をサトウキビの汁で煮てから濾し、いろいろな加工を施して帯骨鮑螺という菓子を作る。天下の人が美味だと讃えているが、その製法は秘密で、父子であっても簡単には伝えない。

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