多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

食憲鴻秘、古代のバター、酥について

作り方:ミルクを鍋に入れて一回か二回沸騰させた後、鉢に注ぎ、冷やす。表面にできた膜を取る。そのミルクを再度鍋で沸騰させ、再び鉢に入れて冷やし、表面の膜を取る。これを何度か繰り返す。そうやって集めた膜を鍋に入れて煎じ、かすを取り去ったものが「酥」だ。そのかすを集めて、豆腐を製造するときのように圧力を加えれば、食べられる。

解説:酥は、古代は「蘇」や「酪蘇」とも呼ばれていた。製造方法については、北魏の賈思勰の「斉民要術」や明代の朱権の「臞仙神隠」などにより詳細な記載がある。牛の酥は、鮮やかな黄色で甘みがあり、口当たりもいい。冬のものは淡い黄色だ。羊の酥は白色だが、色つやも栄養価も牛のものに及ばず、口当たりも落ちる。酥は胃腸を潤して脾を温め、多くのビタミンを含み、栄養価が高い。唐代玄奘の「大唐西域記」にも「酥を食べて元気が出た」という趣旨の記載がある。

 異なった酥には異なった効果がある。アカウシとヤギの酥は微寒の性があり、熱を取って胃腸を整え、皮膚を潤す働きがある。ヤクとメンヨウの酥は微熱の性があり、寒を取り去って五臓を補い、気と血を益する働きがあり、便秘や肺機能の衰えに効く。一般的に、酥は消化吸収力を高め、結合組織を潤滑にして動作を機敏にし、脳の働きを改善して、漢方薬の効能を全身に行き渡らせる。一般の人、特にビタミンAの欠乏している人や子供に向いている。だが、冠動脈性心疾患、高血圧、糖尿病、動脈硬化を患っている人は、食べてはいけない。妊婦や肥満している人は少なめに食べた方がいい。酥を抽出する過程で乳蛋白を取り去るので、乳糖不耐症の人にとってミルクの代用品になる。

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