多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

豆腐の様々な調理法(二)、汪曾祺

 なぜかは知らないが、現在北京の老豆腐を見かけない。かつては多くの露店で売っていた。老豆腐は硬くない。豆腐脳と同じくらいだ。味付けは簡単で、ごまペーストとニラの粉を使う。露店の腰掛に座り、老豆腐を一碗注文して大きなクレープで巻いて食べるのは、とてもいい。

 四川の豆花は素晴らしい。

私と友人は四川の楽山に行き、地元の人がよく行く小さな店に赴いて豆花を一碗注文した。白い豆花以外何も入っていない。箸で豆花をつまみ、タレにつけて食べた。

豆花のスープに刻んだパクチョイを入れたものが「菜豆花」だ。

 豆腐干は南北にある。北京の豆腐干はいぶしたもので、キンサイとあえると美味しい。

 茶干というものもある。

私の「茶干」という小説からの抜粋だ:豆腐のカスを落とし、ガマの葉でくるむ。しっかり縛って鍋に入れ、ごま油を加えて上面を石で圧し、弱火でじっくり煮込む。煮えたら、一つずつガマの葉から取り出す。周囲が厚く、真ん中が薄い。ガマ野葉の模様がついている……

 しっかりとした噛みごたえで、噛めば噛むほど味が出る。茶を飲む時のつまみにとてもいい。

 安徽の屯渓でかび豆腐を食べた。長方形の豆腐に数センチの白い産毛が生えており、平底鍋で煎り、醤油とトウガラシ、葉ニンニクをつけて食べる。屯渓に行くなら、食べてみるべきだ。

 豆腐乳は各地にある。江西の進賢で土地改革に参加した時、そこの農民の家で豆腐乳を食べた。貧乏な場所で、他に食べるものがないので、いつも豆腐乳をおかずにしていた。大量のトウガラシの粉とザボンの皮を使うので、強烈な味だ。

南方人は百葉(豆腐を薄く圧縮して乾燥させたもの)を好んで食べる。百葉結焼肉は寧波や上海の日常食だ。

シャンは旧市街の軽食店では百葉結を売っている。

百葉に肉を包んで結び、煮たものだ。一碗に四つか五つ入っている。

 杭州の知味観に煠響鈴という有名料理がある。

豆腐皮(豆乳の表面の膜をすくって陰干しにしたもの)を、まず用意する。赤身肉をミンチにして、刻みネギとショウガの粉、塩を入れて餡にし、豆腐皮で巻く。それを一定の長さに切って油で揚げる。油の温度が高すぎてはいけない。噛むとサクサク音がして、鈴の音のようなので、煠響鈴の名がついた。油で揚げず、醤油と冬シイタケのスープで煮込んでもおいしい。

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