多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

肉食はいやしからず(二)、汪曾祺

臘肉(中華風燻製肉)

 湖南の人は臘肉を好んで食べる。農村の人が豚を殺すと、たいていは塩に漬けて、かまどの梁の上に吊るし、燻製にする。私はそんなに好きではないが、長沙の大きなレストランで食べた蒸し臘肉は美味しかった。普通の臘肉は帯状で、形が整っていないが、そこで食べた臘肉は長方形にきちんと切りそろえられ、とても柔らかかった。臘肉がこんなに柔らかく蒸せるとは思わなかった。得難い味だった。

あずき餡の肉挟み

 甘い味で、四川の料理だ。脂肪のたっぷりついた豚の肩の肉を五分めまで煮込み、取り出して水分を切ったあと、皮に水泡ができるまであぶる。さめたら、二切れの肉の間にあずきの餡を挟み、碗に置き、蒸籠に入れてじっくり蒸す。

サトイモペーストの肉挟み

 広西の料理だ。作り方は、あずき餡の肉挟みに似ているが、サトイモペーストはあずき餡より細やかで、サトイモの香りも残るので、あずき餡の肉挟みより美味しい。

白肉火鍋

 東北の料理だ。肉片が極めて薄いのが特徴だ。肉の大きなかたまりを凍らせて硬くし、かんなで削ったものを、鍋に入れる。とても柔らかい。牡蠣や白菜の酸っぱい漬物も鍋の具にする。

子豚の丸焼き

 元々はどこにでもあり、清時代は宴席に必須だった。その後徐々になくなり、今は広東でだけ盛んに作られている。甘口のみそをつけたクレープでその肉を包んで食べると、北京ダックにも劣らない。が、広東の人はクレープの使い方があまりわからず、子豚の丸焼きをオードブルとして扱っている。

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