多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

雲南昆明のキノコ類、汪曾祺

 私は昆明に七年いた。昆明を離れてもう四十年経つが、昆明のキノコは忘れていない。

 雨季がくると、様々なキノコが生えそろう。空気の中にキノコの香りが充満する。貧乏人も金持ちも、皆キノコが食べられる。

 よく見るのはヤマドリダケとアイタケだ。ヤマドリダケはかさの正面は牛の肝のような色をしている。裏側にひだがなく、平たいのが特徴だ。小さな穴が無数にあるだけなので、肉は分厚く、切片は炒めて食べるのがいい、口に入れると滑らかな味だ。ヤマドリダケを炒める際は、大量のニンニクの薄片を加えないと、食べたらめまいを起こす。キノコとニンニクの香りが鼻を打ち、五臓六腑に染み渡る。ヤマドリダケは安いが、アイタケは少し高い。

淡い緑色を帯びたかさで、ひだは雪のように白く、煮込んだり炒めたりする。塩を使うのがいい。醤油を使うと色が悪くなってしまう。アイタケがいいという人もいれば、ヤマドリダケを好む人もいる。味が濃厚だからだ。

 最も名高いのは、オオシロアリタケだ。

田野のシロアリの巣の上に生育する。なぜかは、専門家もわからない。オオシロアリタケは、かさが小さく、柄が太くて長い。ニワトリの太腿に似た柄を主に食べる。

キノコの王と言われている。味はどうか?形容するのは難しい。「植物の鶏」とでも言おうか。肥えたメンドリに似ているが、それより細やかだ。そして鶏肉には、あの独特なキノコの香りがない。昆明甬道街のあるあまり大きくはないレストランは、オオシロアリタケの料理で有名だ。

 味わいが最も深く、見た目が最も悪いキノコと言えば、ハナビラタケだ。

踏み破られた蜂の巣のようで、乾いた牛糞のような色だ。大きなものはなく、洗ったあと、赤身と脂身を混ぜた豚肉、青トウガラシと一緒に炒める。

口に入れて細かく噛むと、しばらくは話ができない。ハナビラタケはキノコだが、中華ハムのような味がする。ハナビラタケを陰干しにして、トウガラシと一緒に漬けると長持ちし、味も新鮮なものと変わらない。

 最も見た目がいいのはアンズタケだ。

円形で、柔らかな黄色。だが、美味しくないそうだ。ハナビラタケは、美味しいが見た目が悪い。アンズタケは、見た目はいいが、美味しくない!

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