多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

様々なダイコン(二)、汪曾祺

 コウシンダイコンは北京の特色だ。1948年の冬私は北京に来たが、街角や路地裏でダイコンを売る声が響いていた。

 私はかつて張家口で労働に参加し、コウシンダイコンの収穫業務を行っていた。張家口の土質はダイコンにぴったりで、大きなコウシンダイコンがとれた。収穫したものをそのまま食べることもあった。私と一緒に収穫作業をしていた農業労働者は、ダイコンを一目見て、あまり良くないものはかたまりの中に投げ入れ、いいと思うものは地面に叩きつけていくつかに割り、それを手に取ってかじっていた。甘みがあってサクサクし、汁気も多く、形容し難いほど美味しかった。

 張家口の白ダイコンも大きかったが、私の故郷には大きい白ダイコンはない。せいぜい子供の腕くらいの太さだ。

故郷では、ダイコンはそのまま焼くか、醤油で焼くか、あるいは肉と一緒に焼くかだ。

江南の人は白ダイコンの煮込みスープを特に重んじる。スペアリブや豚肉と一緒に煮込むケースが多い。白ダイコンは長時間煮てもよく、そうすると味も出る。

 四川の人は白ダイコンを牛肉と一緒に煮込むが、これも美味しい。

 揚州の人と広東の人は、ダイコンの千切りを使ったクレープを作るが、素晴らしい味だ。北京東華門大街で、かつて外地の人がこれを作っていた。よく売れていたが、今はない。

 北京の人は、ダイコンの細切りを炒めたものをよく食べる。みそで炒めることもあるが、南方の人はあまり好かない。

 白ダイコンは消化を助け、お通じをよくする。湖南で生活を体験していた時、ある地位の高い人が五日続けてお通じがなかった。色々な薬を試したが効果がなく、困っていたところ、生の白ダイコンをいくつか食べると、すぐにお通じがうまくいった。こんなに効くとは!自分の目で見なければ、信じがたい。

 湖南の桑植では酢に漬けたダイコンを売っている。

それを売る露店が、二、三メートルの間隔で並んでいる。切り分けたダイコンが広口のガラス瓶に入っているのだが、金を払って一切れもらい、歩きながら食べる。峨眉山の山道でも酢に漬けたダイコンを売っているが、みそを薄く塗っている。

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