多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

タウナギの千切り炒め、梁実秋

 タウナギは我が国の特産だ。各地に産し、腹が黄色い。浅い池や田んぼなど、どこにもいる。

 見た目は蛇のようで少し恐ろしい。鱗がなく、全身が粘液で覆われ、ツルツルしているので、食べるのを怖がる人もいる。子供の頃料理人がタウナギを捌くのを見たが、印象に深く残っている。タウナギは中庭の大きな甕に入っていて、頭部を水面につけて呼吸をするため、水中で直立していた。手で掴むのは簡単だが、ヌルヌルしているので布を使わないとしっかり持てない。大きな鉄釘でタウナギの頭部を板に打ち付け、腹の皮を鋭利な刃物で割いて、内臓と背骨を取り出し、皮膚の粘液は塩で揉んで除去する。血がダラダラ流れて、見ているのが怖かった。

 北方では河南のレストランしかタウナギを扱わない。山東のレストランにはない。山東のレストランでタウナギを注文するのは素人だ。河南のレストランのタウナギ料理で私が一番好きなのはタウナギの千切り炒めだ。

タウナギを五センチか六センチの長さに千切りにし、豚の油を使い強火で炒める。コウサイと塩を少し加える以外に調味料は使わない。こうして調理したタウナギは、肉が白くてサクサクしており、タウナギ本来の味を失っておらず、とても美味しい。もう一つは醤油煮込みだ。

四角形に切り分けたタウナギにニンニクを加え、醤油を入れてじっくり煮込む。柔らかで、独特の味わいだ。

 淮揚のレストランもタウナギの調理がうまい。その中で熗虎尾は色彩が美しい。

タウナギを

十四センチか十五センチに帯状に切る。スープで煮込んだ後すくいあげて一本ずつ碗にきっちり入れて、事前に用意しておいたごま油と醤油、料理用酒を混ぜたスープをかけ、さました後砕いたニンニクを大量にかける。コールドで食べるのがいい。見た目は少し驚くが、味は美しい。炒鳝糊と下に春雨を置いた軟兜帯粉もいい。

タウナギをじっくり煮込んだあと炒めたので、とても脂っこい。店員が傍で煮立った油をかけてくれる。箸でかき混ぜる人もいるし、胡椒の粉をかける人もいる。タケノコやマコモの千切りも混ざっているが、主客転倒の感もある。こういうのを見ると、タウナギの千切り炒めに思いを馳せてしまう。北方の有名レストランの主人に、なぜタウナギの千切り炒めを出さないか聞いたら、太くて大きいタウナギが手に入らないからと 千切りにできないと言っていた。そうかもしれない。

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