多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

北京の火鍋(鍋物)、金受申

 寒くなった北京では火鍋は伝統ある家庭の享楽であり、楽しみを分かち合う食べ物だ。かつて火鍋は材料とスープに極めてこだわり、スープは本物のキシメジと冬野菜、綿羊の尻尾の油、ネギ、ショウガなどを使用してこってりおいしく作っていた。鍋の具は簡単なものでは豚肉の肉団子と北京風焼豚の二種類。複雑で高価なものだと豚肉や鶏肉、アヒルの燻製なども入れていたが、賑やかなだけで火鍋本来の味を奪ってしまう嫌いがあった。火鍋は、五目火鍋


三鮮火鍋

白肉火鍋

の他に、羊肉火鍋

があるが、羊肉火鍋が最も美味しく、普遍的だと思う。

 羊肉は、羊肉専門の大レストランと火鍋をよく扱うレストランでは、羊肉のロースの部分を凍らせてから大きな石で圧し、その後薄く切る。そうすれば新鮮さを保てる。そして千切りにすると、食べても歯に挟まらず、口に入れた途端にとろける。羊の腎臓を切る場合は、普通横側から下に向けて切る。宮廷で料理人をしていた人に聞いたら、横向きに切ると、切れ端も大きく、新鮮さも保てるということだったので、試してみられてはどうか。

 豚肉の火鍋が好きな人もいるが、生物学者によれば、豚肉はしっかり熱を通さないと寄生虫が死なないということなので、注意が必要だ。羊脂を湯がくのが好きな人もいる。羊肉よりも柔らかく、思うほどに油っこくないという。コウサイを切って火鍋で湯がいて食べるのが好きな人もいるが、確かに新鮮な味だ。火鍋で使う野菜類といえば、すっぱいハクサイの漬物、凍り豆腐、春雨などだ。最近は大きなハクサイも歓迎されるようになってきたが、ここ二十年か三十年のことで、「東来順」が始めた。

 「菊花鍋」は、新鮮な魚肉と鶏肉、腎臓の他に白い菊の花びらを加えたものだ。

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