多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ナス、梁実秋

 北方のナスは南方のナスと異なるところがある。球形でやや平たく、南方のもののように細長くない。形はさておき、質も大きく違う。北方は気候が乾燥しているので、野菜や果物は水分の欠乏を免れない。それゆえに、質が硬い。

 「焼きナス」

は北方の普通の家庭料理だ。ナスを皮をむかずに四センチくらいに切り、皮のついていないところに包丁で縦横に切れ目を入れる。細かければ細かいほどいい。それを油で揚げる。ナスが油を吸うので、鍋に油を多めに入れておく。が、ナスが淡い黄色になると、かなりの油が流出する。ナスを取り出してから、ヒレ肉の千切り少し炒め、そこにナスを入れて、さらに炒める。醤油を加えて皿に盛り、刻んだニンニクを大量にふりかける。甘美な味で、ご飯がよくすすむ。

 台湾に来てから、試しに「焼きナス」を作ってみたが、うまくいかなかった。ナスの水分が多すぎて、うまく揚げられない。客家のレストランにも「焼きナス」はあるが、柔らかすぎて美味しくない。

 北方ではナスは値段が安く、様々な食べ方がある。「煮込みナス」は、夏によく食べる。

柔らかくなるまでナスを煮込み、酢とニンニクにつけて食べる。鉄の鍋で似てはいけない。容易に変色してしまう。

 ナスは冷たくあえるのもいい。「冷水ナス」という。じっくり煮たナスを細かくつぶすように切り刻むのだが、煮るときにダイズをいくらか加えて均等に混ぜる。ごま油、醤油、酢を混ぜたものをかけて、冷ましてコウサイを加えて食べる。暑い時にちょうどよく、冷蔵庫で冷やすと、なおよい。

 薄切りにした二枚のナスにミンチを挟み、のり状の小麦粉でくるんで油で揚げたものを「ナス盒」という。

レンコンで作った「レンコン盒」と風味が似ている。

 ジャージャン麺を食べる時も、ナスは有用だ。麺を混ぜる時にみそが多すぎると塩辛いし、少なすぎると味がしない。

ナスをサイコロ状に切り、油で揚げたものをみそに入れる。「ナスジャージャン」という。独特の味だ。

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