多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

柿子糊塌(柿ペーストの揚げ物)、賈平凹

そろそろ柿の季節です。かつての唐の都長安があった陝西省に伝わる柿の調理法を、陝西省の作家が紹介しています。

  柿子糊塌,贾平凹
 臨潼には火晶柿がある。火のように赤く、水晶のように輝き、果肉は細密で、硬い芯もない。当然食べたいのだが、季節に限りがあり、持ち運びも不便なので、柿子糊塌という調理法が生まれた。
 まず、柔らかな柿の皮とへたを取り去り、皿に入れて撹拌してペースト状にし、そこに小麦粉を混ぜる。鉄の小さな型にそれを入れ、へりはへこませ、真ん中は二センチの高さにする。
 型に入れたままのものを油を入れた鍋に入れて加熱するが、半分くらい熱が通ると鉄の型が取れて落ち、柿が浮くので、ひっくり返して再び過熱する。これを数回繰り返し、柿の両面に熱を行き渡らせてから、食べる。
 が、買っても、黄金色が美しいので、食べるに忍びない。口に入れても、細かくかむに忍びない。丸ごと腹に入れると、胸焼けする。
 臨潼の人が揚げる柿子糊塌が一番おいしい。油鍋の周りはいつも人だかりだ。買わずに、大口を開けてにおいをかいでいる人もいるが、なぜか太った体型だ。

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