多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ハト、梁実秋

 明時代の書物に「顔清甫という人が病に伏したところ、その子供がドバトを弓で射落として食べさせた」と書いてある、ハトを弓で射落とすことは北方ではよくある。食べるのだ。顔家の子供が射落としたのは伝書バトだったので、後でお父さんが謝りに行った。

 私が子供の頃、石弓でカラスを射落とそうとした人がいた。カアカア屋根で鳴くのがうるさいからだ。が、うまくいかなかった。ハトを射落とすのはもっと難しい。ハトはとてもかわいく、空を旋回する様は美しい。ハトの肉を食べようとは、私の家族は思わなかった。が、ハトを食べるために飼う人は多い。私は、ハトの肉がそんなに美味しいとは思わない。

 ハトを食べるのは広東で最も盛んだ。焼肉の店では、よく焼いたハト

をぶら下げている。酒席用の「油淋乳鴿」(ハトのひなの油揚げ)

は、湖南料理のレストランでよく見る。ハトのひなは小さくて柔らかい。全身をじっくり調理し、テーブルに出す。もっぱら胸の肉を食べる人もいれば、頭の部分を音を立てて噛むのが好きな人もいる。台北に「油淋乳鴿」の専門店がかつてあり、派手な宣伝をしていたが、まもなく見せてを閉めた。「油淋乳鴿」が好きな人は少ないのだろう。

 ハト肉のミンチを炒めたものは、

かなりいける。調味料と混ぜ合わせ、レタスの葉で巻いて食べるので、ハト肉の味はしない。

 北方のレストランに、ハトの卵の醤油煮込み

がある。ハトの卵はウズラより少し大きく、卵黄と卵白は、ウズラよりもニワトリよりも柔らかい。まずじっくり煮て殻をむき、表面が黄色く焦げるまで油で揚げる。それを鍋でじっくり煮込む。冬シイタケとタケノコ、火腿(中華ハム)などで味をつける。作るのにかなり手間暇がかかる。が、卵白は微かにすきとおり、卵の大きさが口にちょうどよく、味もいい。一気に三皿食べた人もいる。

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