多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ワンタン、梁実秋

 ワンタンの歴史は悠久で、南にも北にもある。子供の頃、午後になると「ワンタン鍋が煮えたよ!」と叫びながら、行商人が路地に売りにきた。その天秤棒の上のワンタンは独特の風味があって、美味しく、値段も安かった。骨のスープで長時間煮たもので、濃い味だった。ワンタンの皮は薄く、肉はわずかだった。が、具材は少なくはなく、刻みネギ、コウサイ、えびの皮、ハクサイを使い、醤油、酢、ごま油で味をつけ、最後に竹筒に入れた黒コショウを振りかけていた。こんなワンタンは他の場所では食べられない。

 北平にある山東料理の店では、たいていワンタンを売っていた。私の家のある路地に同和館があり、早朝にワンタンと羊肉入りのまんじゅうを売っており、少し名が売れていた。ワンタンはよくできていて、スープは清くて濃厚な味、エンドウの若芽を使っていた。どんな店でもスープをひと鍋分ストックしており、ワンタン一碗にひとさじかけて、十分な味を出していた。化学調味料が普及すると、スープのストックはしなくなった。が、食通が食べれば、本物かどうかすぐわかる。

 店で売っているワンタンでは、致美斎

のものが最も有名で、清の同治皇帝の時にそれを称える詩ができている。それから時が過ぎ、店の状況は大きく変化したが、ワンタンの評価は変わらない。スープがいいからだ。

 私の一番のおすすめは、致美斎の煎りワンタンだ。

一つ一つがきれいな形で、薄い皮がピンと立っている。カトリックの修道女の白い帽子のようだ。黄色く焦げるまで弱火で油で煎った後、小型の蒸籠で短時間蒸し、テーブルに出す。ワンタンの皮は、柔らかさの中にわずかな強さがあり、ユニークだ。

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