多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ササゲ、汪曽祺

 子供の頃はササゲが一番嫌いだった。皮が二重で味が薄かったからだ。北京に来て年を重ねると、ササゲも美味しいと思うようになった。人の味の好みは変わるものだ。たとえば、小さい頃は、豚の肺はふわふわしてかみ心地が悪いと感じたので、食べなかった。年をとってから、老人の歯にぴったりで、美味しいと思うようになった。

 若いササゲを短く切り、熱湯でサッとゆで、少量の塩で漬ける。その後水分を切り、醤油と鎮江酢、ショウガと刻みニンニクであえ、ごま油を数滴たらすと、いい酒のつまみになる。

炒めて食べてもいい。

 河北の漬物にはササゲを漬けたものがあるが、他の地方にはない。

北京の六必居にも天源にも、南方揚州の漬物にもない。河北保定のササゲの漬物は、全体がサクサクしていて、柔らかく、とても塩辛い。河北の人は濃い味を好むので、漬物は皆とても塩辛い。

 ササゲは年をとると、表皮に光沢が出て、淡い緑の中に赤紫色が浮かぶようになる。磁器の「ササゲ赤」はこの色だ。中国人は磁器の色に「老僧の衣」とか「ごまペースト」とか「茶葉の粉」とかの名前をつけるが、見事なたとえだ。

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