ホウレンソウ、梁実秋
私たちがいつも食べるホウレンソウは、唐の太宗のときに西域から入ってきたものだ。おいしいだけではなく、鉄分を含んでいる。
数年前、テレビで漫画の「ポパイ」を見たが、ホウレンソウを秘密兵器として携帯していた。ホウレンソウを飲み込んだとたんに細い腕が筋肉隆々となり、相手をなぎ倒す。どうしてホウレンソウにこんな力を持たせているのか?牛乳や牛肉、キャンディーを食べ慣れているアメリカの子供たちにホウレンソウを食べさせるためだ。アメリカ人はホウレンソウの調理が下手だ。いつも冷凍のホウレンソウを使っているし、新鮮なものでもうまく調理できないので、子供たちはホウレンソウを嫌がる。それゆえ、ポパイの漫画を見せて子供たちをホウレンソウへ誘っているのだ。我々がホウレンソウを食べるときは、煮るにせよ炒めるにせよ、加熱は控えめにしてサクサク感を維持する。火鍋に入れるときは、さっとゆでるだけにする。およそ野菜は加熱のし過ぎはよくない。
北方では、ホウレンソウのシーズンになると、それぞれの家で大量のホウレンソウを購入する。食べ方は多いが、冷やしたあえものは爽やかだ。
ホウレンソウをさっとゆでてから、すぐに取り出して細かく切り、冷たいごま油、醤油、酢をかけて、ごまペーストとからし粉を加える。ホウレンソウのうま煮も家庭料理の一つだ。ホウレンソウを鍋に入れ、五分がた煮えたら、豚肉の千切りを加える。その色が変わったらすぐにでんぷんの粉を入れてかきまぜ、適量の酢を加え、最後にコショウの粉をふりかける。
ホウレンソウの色が少し変わるが、酸っぱくて辛く、独特の風味を持つ。
あまり食べすぎると飽きてしまうが、ホウレンソウの天日干しもいい。
冬の間貯えておける。天日干しにするなら、大きめのものがいい。餃子や饅頭の餡にすると、いい味だ。