広東式モーニングティー、趙珩
改革開放以降、香港や広東の気風が徐々に北上し、全国の多くの都市に広東式モーニングティーが出現するようになった。実際は、広東式モーニングティーは、茶を飲むというより、広東式の軽食を食べることだと言った方がいい。ことに北方ではそうだ。が、広東人のモーニングティーは、しっかりと茶を飲む。紅茶であれ、ウーロン茶であれ、緑茶であれ、思い切り飲む。急須に入った茶を飲み終えると、ふたをそばに置いておく。すると給仕がすぐに湯を注いでくれる。こうして飲み続けるわけだ。
広東式モーニングティーの軽食類は極めて精緻で、多種多様だ。広州の陶陶居や大同酒家、中国大酒店などでは、百十種類もある。これらの軽食類は六つに分けられる。第一は肉類を蒸したもの。鶏の足
やスペアリブ、豚の胃やサーロインなどだ。第二はスイーツ。エッグタルト
やヤシの千切りタルト
水晶餅など三十種類くらいある。第三は小さい籠の蒸し物。有名なエビ餃などだ。これらは真の広東料理レストランのモーニングティーでないとお目にかかれない。エビ餃の皮はヒシの実の粉を用いており、透明でキラキラと輝き、食べても粉っぽくない。北方の広東式モーニングティーでは、きちんとしたものにお目にかかるのは難しい。
第四は大きい籠の蒸し物。「大きい」と言っても、「小さい」ものよりややかさばるだけだが、皮が異なる。大部分のものは小麦粉を使っているのだ。焼き豚饅頭や
嬭黄包(卵黄やミルクを使用して作る)などだ。これらはおなかが膨れる。二つ食べれば、他のものは食べなくてもいい。
第五は粥類だ。生魚粥
や生鶏肉粥、ピータンと赤身肉の粥などがある。広東人は粥を重視しており、急須一つ分の茶を飲むと、粥もきちんと食べる。北方人のやり方とは異なる。これらの粥は、その場で煮込んだものをその場で食べる。煮えたぎっている粥で生の魚や鶏肉をじっくり加熱することで、鮮度と柔らかさを保ち、米と肉が一体となる。
第六は、煎ったり、油で揚げたりしたものだ。煎り餃子
や煎った馬蹄糕などだ。
これらも、その場で煎ったものをその場で食べる。
上記の六つのほかにも、その場で調理してその場で食べるものがある。腸粉(米を原料に作ったもので、具を巻いたりする)がそうだ。牛肉やむきエビ、焼き豚を巻く。楕円形の皿に、羊の脂肪のように白い腸粉をのせ、美しい緑の野菜を添える。まるで玉と翡翠の工芸品だ。腸粉の皮は噛み応えがあってこそ、口当たりがよくなる。
ある時香港のホテルに泊まっていたが、外に出てモーニングティーを味わう機会がなかった。ホテルの料理は大半が西洋式だった。そこで香港にいる友人がアフタヌーンティーに連れて行ってくれた。場所ははっきり覚えていないが、立派な店構えで、アフタヌーンティーも上質だった。最も印象深かったのはカニみそとエビの小さな饅頭で、
噛むと、カニみそがはっきり見え、名実相伴うものだった。
広州の街中にも様々な朝食店がある。大衆的なある店で、潮州魚肉団子ビーフンを食べたが
、実に美味しかった。潮州の米の粉で作ったビーフンに魚肉団子やむきエビを乗せたもので、とても安く、他にもサーロインビーフンや焼き豚ビーフンなどの大衆的な朝食を売っていた。
上海にも朝起きて茶を飲む習慣がある。が、ニワトリの足やスペアリブなどを茶のつまみにはしないようだ。私は上海に行くたびに「老半斎」で朝食をとる。朝食は朝九時に終わるので、早く行かねばならない。朝食をとり、茶も飲む。そこのタウナギの千切り麺
やカニみそ饅頭
千層糕
水晶饅頭
はとても有名だ。