多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

北京庶民の正月料理、金受申

 北京の軽食類も、とても味わい深い。が、北京の家庭では普段はあまり作らず、年末年始(特に旧暦の)になってから、祝いの中で食べるために作る。寒冷になっているから、食物が容易に腐らない。それゆえ各家庭で「正月料理」を作るのである。
 小さな料理では、生ものもある。「キュウリのあえもの」


や「クラゲのあえもの」などだ。

加熱したものでは「五目炒め」だ。

生麩とクレソン、ニンジンと豆腐干をきわめて細く切り、ごま油と醤油を用いてじっくり炒め、コウサイをふりかける。冷たくして食べるのが一番いい。

 肉料理もある。「醤スペアリブ」

や「タンの醤油煮」

「肝の醤油煮」などだ。

「鶏肉の煮こごり」

や「魚肉の煮こごり」もあり、熱心な家庭では年が終わるまでに作り終えている。
 大晦日に家族が集まって食を共にし、元宵節に親せきや友人と飲む。赤煉瓦の小さなストーブに百ワットの電球、子供たちは爆竹を鳴らし、楽しいおしゃべりの声が聞こえる。あるいは一人か二人の親友と夜まで語り合う。いい酒が一壺あれば、心が洗われ、高価な料理などいらない。
 正月料理の中でさわやかなものと言えば、「からし白菜」のような冷たくて甘みのある料理だ。白菜の外の葉を取り除き、内部の芯だけを使う。

それを一定の長さに切り、ネジアヤメの葉かコインを結ぶひもでしっかり縛って、鍋の中でじっくり煮る。取り出してから、スープとともに皿に置き、からし粉と白砂糖をふりかける。冷やして食べるのが一番いい。食べるときに酢を加えるとおいしさが増す。

 北京特有の「辣菜」というものもある。


冬になると売りに出される。カラシナを切ったものとダイコンの千切りを一緒にじっくり煮て、スープもともに壺に入れて密封する。食べるときはごま油と酢をくわえる。鼻につんと来るほど辛いが、みんな好んで食べる。肉を大いに食べた後だと、さわやかになる。

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