オゴノリ、梁実秋
子供の頃はオゴノリを食べたことがなかった。少し成長してから外国の缶詰のものを食べたので、オゴノリはすべて舶来品だと思っていた。しかし、「本草綱目」にはっきりと「オゴノリは東南海の石に生える。群生し、枝はなく、柳の根のひげのような葉がある。三十センチくらいの長さで、白い。酢に浸したり、肉と一緒に蒸したりすれば美味しい」と書いてある。現在はオゴノリはどこにでもあるようだ。茎が白くて太いのもあれば、緑で細いのもある。
最初にオゴノリを食べたのは西洋料理だったが、のちに中華料理でもアワビにオゴノリを添えた料理
を見たことがある。
上等のオードブルだったが、缶詰のものを使っていた。上海で、初めて新鮮なオゴノリを千切り火腿(中華ハム)と一緒に炒めたものを食べた。柔らかくて細い、緑のオゴノリが火腿の赤とよく映え、鮮明な色彩で、味もよかった。
このオゴノリは缶詰のものとは、色も味も異なっていた。噛み切れない繊維もなかった。
缶詰のオゴノリは三分の一が繊維だ。が、特殊な食べ方がある。
北平の東興楼と致美斎に「糟漬けアヒルのペーストとオゴノリの煮込み」という名物料理がある。糟漬けアヒルは冷たいものが美味しいが、それを細かく切り刻んでペースト状にし、一定の長さに切ったオゴノリと煮込むのである。二種の美味が混じり合い、特殊な味となる。