多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

ゆでオキシジミ、梁実秋

 北方人は殻のある軟体動物をあまり食べない。全く食べないわけではないが、南方人のようには好まない。

 北平の山東料理レストランに、「ゆでオキシジミ」という有名料理があった。


オキシジミは四センチくらいで、肉は少し黄色い。これを熱湯でさっとゆでたあと、貝殻を開き、一つ一つを仰向けに皿に並べ、料理用酒とショウガの粉、コショウの粉をふりかける。酒のいいつまみだ。「芙蓉オキシジミ」というのもあった。

芙蓉とは蒸した卵のスープだ。五分目まで蒸したら、オキシジミ

の肉を表面に並べて、再度蒸せば出来上がり。殻ごと蒸すやり方もある。やや荒っぽいとも思うが、それでないとダメだという人もいる。

 台湾ではオキシジミを食べたことがない。カキを煎った料理なら有名だ。アカガイ

は南方では普遍的な食べ物で、人工養殖しているところもある。熱湯で加熱し、殻を開いて、ごま油、醤油、酢を混ぜたものをかけて食べる。殻に血が混じっているので、私はあまり好きではない。ムール貝は

浙江や福建の名産だ。蒸したあと醤油で煮込んだりするが、形が醜く、干からびた蝉のようなので、北方人には受け入れ難い。

 アラスカから南カリフォルニアまでのアメリカ西海岸にアメリカナミガイという貝が生息している。

殻は十五センチくらいで、長くて太い肉が殻の外に伸びている。伸縮性はあるが、殻の中に収まりきらない。象の鼻のようだ。シアトルの高さんの家でご馳走になった。まず、象の鼻の部分だけ切り取り、熱湯でさっとゆでる。そうすると外皮が剥がれ落ちる。その後薄切りにして、ネギ、ショウガ、塩を加えて、強火で油炒めをする。

アメリカ人は炒めるというやり方を知らず、アメリカナミガイをうまく調理できていないと高さんが言っていた。

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