多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

北平のユニークな食べ物、唐魯孫

 塩辛い軽食類は甘いものより種類が多い。台湾では見ないものを記す。。
 灌腸。

北平の灌腸は豚の腸に片栗粉を流し込んだものだ。薄切りにしたものを平底鍋で焼く。それを刻みニンニクの入った塩水につけ、竹串を刺して食べる。街角でも売っているが、縁日に売りに来ることも多い。

天秤棒の片方に調味料や材料を乗せ、もう片方に炭火を使う平底鍋を乗せ、注文しただけ切って、焼いてくれる。馬油を使っているので、表面は焦げていても内部は柔らかく、とても美味しい。灌腸を食べるためにわざわざ縁日に行く人もいるくらいだ。癖になれば、匂いを嗅いだだけで、足が向く。

 豆汁は北平の特産と言っていい。北平以外で売っているのを聞いたことがない。好きな人は酸味のなかに甘みがあり、芳醇で、飲めば飲むほど欲しくなると言う。嫌いな人は酸っぱくてとても臭いと言う。癖になったら、豆汁の露店を見ただけですぐに駆けつける。


 羊頭肉。主に羊の顔の前部分の肉を売っているが、


羊の腱や、

羊の舌、

羊の耳

も売っている。

包丁で紙のように薄く切り、牛の角に入ったサンショウと塩をふりかける。寒い時は、肉の表面に氷ができる。そこにサンショウと塩をかけると、頭がスッキリする。焼酎を飲みながら食べると、羊の皮のジャケットを着ているように、体全体が暖まる。

 羊頭肉は北平の特産と言っていい。寒い日の夜八時か九時、人のほとんどいない道に西北の風が吹き、ナイフのように顔をえぐる。すると、路地裏から羊頭肉を売る声が聞こえて来る。


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