多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

もち米食、周作人

 近年北京で糍粑(蒸したもち米から作った食品)

 が買えるようになり、とてもうれしい。私はもち米食が好きだから。私の故郷には糍粑はないが、麻糍

という名の似た食品がある。糍粑という名は主に四川でよく使われているようだが、実際はもち米で作った年餻だ。私の故郷の年餻ももち米を使うが、うるち米が主材料で、製法も異なる。年餻は米をひいて粉にし、蒸したあと臼でついて作るが、糍粑は米を煮てご飯にしてから臼でつく。もち米のご飯をつき潰して作ると言っていい。

 糍粑はいろいろな食べ方がある。麻糍の材料も同じだが、焼餅のような形だ。中間に小豆餡あるいはごま砂糖の餡を加える。それゆえ子供の頃の記憶では、とても美味しいものだった。
 惜しいことに、中国の菓子類はもち米をあまり使わない。酒席に出てくる八宝飯

くらいだ。一時期甜酒醸も出回っていたが、茶菓店には大したものはない。

美味しいものといえば、私の故郷の松子餻

とそれが形を変えた

橘紅餻

くらいではないか。

 もち米を食べたいのなら、ちまきが一番だ。他地方では端午節に食べるが、私の故郷は特別で、旧暦の新年に家で作っていた。クリやナツメを加えたちまき

に独自の美味しさがあったのは言うまでもないが、普通の白米ちまき

もとても美味しく、市場で売っているものの及ぶところではなかった。広東式や蘇州式の小豆餡ちまき

火腿(中華ハム)ちまき

も当然良かったが、子供だった私はそんなに美味しいとは思わなかった。
 もち米を煮て作ったご飯に白砂糖をかけたものなら、私はどんぶりいっぱいでも食べる。普通のご飯よりも多く食べられるわけだが、同調してくれる友人は一人だけだ。それゆえ、もち米について書いたこの文に賛同してくれる人は多くないだろう。

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