多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

食べられる花、周作人

 上海の友人が特産物の展覧会を見たが、「食指が大いに動いた」そうだ。それも道理で、新聞でその記事を読んだだけの私でさえ、そういう思いを持った。とくに果物や野菜の
展示目録を見たときはそうだった。ミカン、ザボン、ライチ、ヤマモモ、莱陽ナシ、水蜜桃、ハクサイ、ネギ、ショウガ、エダマメ、タケノコ、ザーサイなどだ。
 これらを少し分析すると、果実、葉と茎、根の三つに分けられる。植物で食べられる部分というのはこのくらいで、花を食べるケースはまれなようだ。鮑山の「野菜博録」によれば、316種類ある食べられる草類の中で花が食べられるのはたった6種、119種類ある食べられる木類の中で花が食べられるのは13種だ。が、細かく読むと、めったにお目にかからない植物も含まれているし、知ってはいるものの花は美味しくないものもある。ロウバイの花、エンジュの花、


スイカズラの花、ツルドクダミの花などだ。実際に人が食べる花というのは、「鮮花餅」

という菓子に入っている花か、

菊花鍋

の中の菊の花くらいだ。

 不思議なことに、私達が漢方薬としてよく口に入れるホンカンゾウの花は「野菜博録」に入っていない。ヤブカンゾウの花は食べられるという記載はあるが。調味料として使われる花もある。バラの花とモクセイの花


が重要だ。前者を用いて「バラの花ジャム」

という食品を作るし、後者はいろいろな用途がある。チャラン、ジャスミン、ダイダイ、キクの花などは茶に香りをつけるときに使われる。ハスの花びらで白酒を造るのと同じで、食べるのではなく飲むものだ。一緒にはできない。

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