多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

鶏卵,周作人

 鶏卵は栄養が豊かで、値段も高くない。まるで豆腐のようだ。動物性の食料の中で、こんなに安いものはない。溜黄菜、

モクセイスープ

などの料理が作れるが、窝果児というのもある。変わった名前だが、私は大好きだ。

塩水に割った卵を入れ、さっと加熱して、卵白で卵黄を包むようにする。とても柔らかくて、安い。どうしてそういう名前がついたのか、今もってわからない。私の故郷にはそういう食べ方はなく、割った卵を砂糖と老酒で煮て食べていた。まずくはなかったが、しょっちゅう食べるものではなかった。莴果児のようにいつまで食べても飽きない、というものではなかった。鶏卵はどこのものでも同じように見える。故郷のものが特別良かったわけではなかろう。

 紹興の鶏肉は確かにいいが、それは金華の豚と同様、人の食べるものを食べさせているからだ。いくつかの地方の鶏や豚のように、反野生の状態で飼育し、自分で食べ物を選ばせているわけではないので、肥え太って肉が柔らかくなるのも当然だろう。が、鶏が良ければ卵も良くなるのは当然かもしれない。

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