多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

香餻、周作人


 斉さんがある文で香餻は大丈夫だと書いていた。これはいい知らせだ。香餻のような郷土の伝統的な風物が保存されているということは、一般の商工業も衰えていないということだからだ。私は故郷を離れて長いが、香餻のことはずっと思い続けている。麻糍への

思いと同じだ。

 香餻は本来簡単なものだが、製造するのは難しい。材料がとても重要で、少しでも違いがあれば美味しくて細やかなものができない。茶菓子店に似たような菓子が色々あるが、香餻のように黄色くて柔らかなものはない。真似をするのが難しいので、あえて出さないのだろう。

 清明節になると山の松が花を咲かせるが、その時の松花香餻は特に清らかな香りで、実に美味しい。

が、普段の香餻もなかなかなもので、他の茶菓子にはない淡い風味がある。穏やかな郷土の雰囲気を反映しているとも言える。

 以前は竹の籠に入れて天秤棒で他の土地に持って行った。いまは天秤棒は使わない。北京に楊村餻干という名菓がある。

その形を見ると、北京にも香餻の「良き友人」が多いかもしれないと思えてきた。現在は国内も統一され、経済も復活してきた。各地の名産も徐々に流通するようになったので、香餻が再び北京て食べられるようになるもしれない。

1950.7

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