多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

果物の砂糖漬、周作人


 故郷に最も馴染みを感じるのは、他の場所よりいいところがあると思えるからだ。その一つが菓子だ。子供の頃最も馴染みがあった。当初はそんなに思わなかったが、北方に来て見なくなると、寂しさを免れ得ない。その後蘇州のある街で馴染みの菓子を売っている店を見かけ、喜びを禁じ得なかった。買って食べたわけではないが。

 もう一つは果物の砂糖漬だ。北京の琉璃厰に信遠齋という専門店がある。そこの酸梅湯は遠方でも有名で、

ナツメの砂糖漬

アンズの砂糖漬も名高い。田舎の店より当然質は上なのだが、なぜか疎遠で、故郷の小さな店の方に懐かしみを感じる。

 果物は本来生で食べるのがいいのだが、時間と場所の関係で手に入れるのが難しいことが多い。そこで缶詰にして遠いところまで運ぶ。缶詰入りの果物の砂糖漬は、底にシソとショウガの切れ端が敷いてあり、その上にビワや桃などが入っている。その他にもキンカンやサクランボが入っているのもあり、一番上にブッシュカンが置いてあるのが多い。子供の頃それを見るととても嬉しかったのだが、実際はサトウキビに及ばない。

 サトウキビはまさに果物の英雄だ。生で食べてもいいし、ジュースを絞って飲んでもいい。

が、缶詰の砂糖漬にはできない。缶詰の砂糖漬にするのだったら、シログワイを切ったものの方がいい。





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