多田敏宏:中国の食と病と文学のブログ

中国の食と病について文学の点から見てみたいです。

豚肉、周作人

 各地の民族の食物は、穀物の他に、肉類も風土や習慣によって大きく異なる。たとえば、欧米人は牛を食べ、モンゴル人や回族は羊を食べ、日本人は魚を多食し、中国では豚肉をよく食べる。わたしは豚という

動物は嫌いだが、豚肉の用途が多いことは事実であり、否定できない。西洋料理のレストランや専門店では、牛肉や羊肉の美味しい料理がいくつかあるが、家庭で作るのは難しい。田舎では普段は牛肉は買わず、羊肉はダイコンと一緒に醤油で煮込むくらいだ。

店で売っている蒸し羊肉の薄切りに味は及ばない。

蒸し羊肉の薄切りは、夏は新鮮なハスの葉で包むのだが、以前は一包が十二文。安くて美味しかった。

 豚肉になると話は全く違ってくる。干したり燻したりするものとしては、火腿、

臘肉、

家郷肉

などがあり、それぞれ異なる風味がある。北京の沙鍋居には豚肉のフルコースがある。

豚の体の様々な部位を用いて数十の料理を作るのだが、舟山の友人がかつて食べに行き、とても驚いていた。

 東坡肉



と粉蒸肉に関しては豚を使わないとダメだ。

豚肉の千切りや薄切りに至っては、用途が実に広い。千切りタケノコやキニラと炒めたり、タケノコの薄切りと炒めたり、様々だ。

 豚の頭部は見た目は良くない。が、その肉は美味しい。十数年前、水滸伝の武松と同郷の友人が私を新年の宴に招き、その土地の習慣に基づいて作った豚の頭部の肉をマントウで挟んだもの

をご馳走してくれたが、その味は今も忘れられない。

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